八氣会インタビュー 第四回 3
初代女性主将の井出裕子さん
第3章 『再就職 〜新たなスタートを決めた基準〜』
“海外ウェディングで一生に一度の想い出を作りたい”と思うお客様の要望にどこま
で応えられるか、その感覚が自分と同じ会社を選びました。
―転職先はほぼ自分の理想に近いとか?
井出:インターンシップ先の企業からも正社員にならないかと声をかけていただいたの
ですが、あんな事件もあったことですし、新しいところでスタートを切りたいと丁寧にお
断りしました。再就職を決めた会社は、お客様の要望に応えようとする気持ちのレベルが
自分と同じだったところです。
―といいますと?
井出:結婚式は、お客様にとって一生に一度の想い出ですから、ものすごくこだわりを
持つ方もいます。例えば“サーフボードを使って写真撮影をしたい”というリクエストが
あった時、前の会社では“ボードがリムジンに乗らないから無理です”とお断りしていま
した。でも私は何とかなるような気がしていたんです。でも会社の方針でNGだった。
―今度の会社では?
井出:採用面接でその話になった時、「うちではOKですよ、今までコーディネーター
が海辺にボードを借りてきて撮影したこともあります」と答えてくれました。その感覚が自
分と合っているなあと思ったんです。
“プラス思考しなさい”ってよく言われるけど、ただものごとを良い方にとらえるこ
とではなく、何か問題があるとすればそれをどうやって解決するかを考えて実行する、そ
の過程そのものがプラス思考なのではないかと思うようになりました。
―井出さんのお話を聞いていると、何かトラブルがあった時、そのあと“あーだめだ
だめだ”という方向ではなく、問題解決のためにエネルギーを使っているような気がしま
すね。
井出:合気道部でも昔からプラス思考が大事って言われましたよね。実は私、以前は「プ
ラスプラスって言っても、悲しい時は悲しいし、苦しい時は苦しくてプラスになんか考え
られないよ!」って思ってたんです。
―ハワイでの経験を経て何か考え方が変わってきましたか?
井出:そうですね。今でも苦しい時は苦しいと感じた上で、その苦しさを招いている原
因があるとすればどうやったらその問題を解決できるかを考えて実行する、そのことこそ
がプラス思考なのかなと思うようになりました。
―なるほど。ところで大変だったころ自分を支えてくれた人はだれですか?
井出:“人と話す”ことは本当に大事だと思いましたね。研修先でも自分が一番年下で
したし、辛いことがあっても先輩や彼に相談すると気持ちが楽になって、周りの人に支え
られていることを実感できました。応援してくれる人がいると思うとまた頑張れるんです
よね。
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3年生の体技審査会にて:銀賞を受賞、左から2番目が井出さん
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書ききれなかった質問その1:
■困ったお客様NO.1は某テレビ局プロデューサー
Q:今まで一番無理難題を要求したカップルは?
井出:某テレビ局のプロデューサー。職業柄か、自分の結婚式もやけに演出したがり、
フラワーシャワーの時間は何時で、どの角度から日が当たるのかとか、パーティー会場の
階段を新郎新婦が降りてくるところでは出席者全員を階段下へ4〜5列に並べてくれとか細
かい注文ばかりでした。
極めつけは、新郎新婦が乗っているリムジンの窓から、参列者のバスを撮影したいとい
うリクエスト。ビュンビュン車が走っている高速の途中で、バスとリムジンの走り方を指
定してきて、これには参りました。 “しばらくリムジンと並走して、その後ゆっくり追い
越してくれないか”と頼まれたバスの運転手がその通り追い越しをしてしまったのですが、
1度やったら“今のじゃ早過ぎだからもう1回お願いします”なんて電話がかかってきてや
りなおしたりして、後で会社にものすごく叱られました…(反省)。
書ききれなかった質問その2:
■ 転職のコツ:来るべきチャンスに備えて情報収集しておくこと
Q2:これから転職しようと思っている人にアドバイスをするとしたら?
井出:いつも情報収集をしておくことでしょうか。集めた情報はすぐ使わなくても、来
るべきときに備えて準備しておく。情報が集まっていないと判断できないですから。私が
通った英会話学校も半年前に説明を受けたところでした。
あと、夢を持っているだけでは先に進まないので、人に会って自分の価値観を広げておく
ことも大事だと思います。身近なところから自分の興味のある人と会って話をするだけで
大分参考になるのではないでしょうか?
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『Central Union Church』:真っ白な内装に赤いバージンロードのコントラストが美しい、井出さんが一番好きな教会です
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<インタビュー後記>
聞き手:第19代会計 佐藤(旧姓林)実知子
★井出さんのキーワードは「情熱」!?
文中に出てきたタリーズコーヒー社長の本に、
“どんなことをするにも情熱の有無で結果は大きく変わる”
“情熱はだれでも平等に持つことができる”
“情熱は運をも引き寄せる”
という文があります。井出さんが一番感銘を受けたフレーズだそうです。業務を外されていた時も、彼女の内に秘めた「情熱」が粘り強い行動を支えていたに違いありません。
ところで、はじめは“初代女性主将”のお話をメインに聞く予定だったのですが、すっかり転職サクセスストーリーになってしまいました。
せっかくなので女性主将になった感想についてもお聞きしたら、
「女子しかいなかったので、必然的に女子にならざるを得なかったんですよね(笑)。自分を選んでいただいたのは、練習が好きでいつもしてたからそのせいかなと思っています。」
とのこと。他の人に自然に協力してもらいつつ感謝も忘れない、自由でしなやかで、楽しげな井出さんらしいお答えが返ってきました…。ハワイでもぜひ素敵なウェディングプランナーになってください、お幸せに♪
皆様のご意見ご感想をお聞かせください。メール:tmu_aikido@yahoo.co.jp
以上
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第1章 『退職 〜直感を信じて道を選ぶ大切さ〜』 |
第2章 『修業時代 〜理想と現実の狭間で〜』
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