―現在は通訳をされてますよね。いろいろなクライアントの仕事を受けるのですか?
加藤:今はアメリカの半導体装置メーカーの仕事が主で、かれこれ4年くらい続いてるね。
―ずっと同じ会社からオファーが来るなんてすごいですね。
加藤:まあ、外国人には評判がいいかも(笑)。さほど重要でない部分に、あまりに厳格な表現があったら、そこを"ゆるく"訳してるから。だって彼らには日本人の厳格な感覚はなかなか理解できない。
―外国人から見て、日本のどんなところが厳格に感じるのですか?
加藤:たとえば会議の数。半導体工場に限って言えば、日本は作業が順調にいっても、一日に会議が朝夕計2回ある。例えば、作業日数が20日なら40回あるわけ。
―それってやっぱり多いんですか?
加藤:欧米は一日目と最後の日に一回ずつ、計2回だよ。進捗確認もほどんどなし。仕事を任せたら、終わるまでは信頼して任せきってる。国際的な流れはこうなってるね。
言葉を訳すこと自体は難しくない。でも価値観の違いでもめると困るんだよね、日本人もアメリカ人もどっちも引かないから!(笑)。
―通訳していて困ったことは?
加藤:訳すだけなら問題はないけど、文化的な違いでお互いの主張がずれるときが難しい。例えば日本では"機械は絶対にこわれちゃまずい"という意識があるけど、アメリカ人は"機械だからこわれて当たり前"という感覚。
―何か具体的にもめたことは?
加藤:例えば機械のテストがあるとするでしょ? 1時間試運転させる間、アメリカ人は"その間コーヒー飲みに行こう"となるわけ。片や日本人は"何かあっちゃまずい"って、機械の前に座ってじーっと見ながら待ってる。文化が全く違うし、どちらにも理由がある。そういうとき間に入る通訳としては困るんだよな〜。
―そんな場面ではどうするのですか?
加藤:以前は"私が説得してみましょう"なんて間に入ろうとした時期もあったけど、とにかく価値観が違うんだから仲介は無理。今は相手の言うことをそのまま訳して様子を見てるよ(苦笑)。
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